九州唯一の旧帝大・九州大学。地方旧帝ならではののんびりした校風と、単一キャンパスとしては日本一の面積となる広大な伊都キャンパスが特徴だ。完全無欠の総合大学であり、共創、文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、工、芸術工、農、の12学部を備える。これだけの学問分野を網羅できていれば十分だろう。

卒業後の進路としては、福岡市内の企業・役所が中心となるのだが、九州の大学の中ではダントツで、東証プライム上場企業(いわゆる東京の一流企業)に通用する人材を育成していることも間違いない。福岡市内はさして家賃が高いわけではなく、リーズナブルに学生生活を送れるという点でも魅力だ。

ここ最近の有名なOBとしては、アフガンで凶弾に倒れた中村哲医師(福岡高→九大医)が印象深い。意外なところでは、吉村洋文大阪府知事が九大法学部卒である。熊本関係では、熊本市長を3期務めた幸山政史氏が済々黌→九大経済卒だ。

さてそんな九大に強い高校はどこだろうか。考えるまでもなく福岡県勢の独壇場となる。1位修猷館、2位筑紫丘、3位福高の福岡県立御三家は九大合格者数こそが存在意義(レゾンデートル)なので、この地位だけは譲るわけにいかないだろう。

本連載で幾度か述べてきたように、医学部東大京大に多方面で活躍している熊高はここでも4位と健闘している。そしてついに登場の済々黌!42人合格で12位と、堂々たる結果を残している。ちなみに、その他熊本市内の高校を見ていくと、第二が5人、第一が6人、真和が6人、学付が3人、九学が0人、という結果だった。九大合格者数という点では、熊高と済々黌が抜きんでているという印象だ。

九大は、入るときの偏差値、出るときの就職先、いろんな意味で考えてもコストパフォーマンスの高い大学と言っていい。しかし、2023年の出願者数は前年比で94.7%となり、旧帝大の中でも2番目に不人気な数字となってしまった(東進進学情報23.5.12より。逆に一番人気だったのは一橋大で前年比114.3%)。

2020年には落選したのだが、2021年11月、ついに指定国立大学法人の称号を勝ち取った。日本政府にワンランク上の国立大ですよ、と認定されたということだ。早々と認定されていた東北大や東大には差を付けられていたが、いまだ認定を受けてない北大と神戸大を上回ることはできた。「名誉はあっても実際のメリットはあまりない」(日経)という見方もあるが、イノベーションの担い手としての期待を受けているのは確かである。

九大にもっともっと注目が集まってほしいと願い、本稿を締めよう。

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