現高2生が挑むのが令和7年度入試。いよいよそこから、大学入学共通テストにおいて情報Ⅰが導入される。国立大学協会は全会一致で「全国立大が一般選抜の受験生に対し、共通テストで情報Ⅰを課すことを原則とする」との方針を決めている(2月26日付朝日新聞)。ただし、「課す」ことだけが義務であり、配点等の扱いは各大学に一任されている。

旧帝大の対応も分かれている。真っ先に方針を決めたのが北海道大学。なんと、情報を「課す」が「配点しない」と発表した。情報を受けさえすれば北大の出願資格は得られる。しかし点数はカウントしない、という意味だ。2次試験含め全て同点だった場合にのみ、合否判定に使う。

配点を公表したのが名古屋大学。全科目合計点を100%とするなら、そのうち5.2%を情報Ⅰに充てる。工学部のみ比重を高め5.5%とする。単純な素点だと1000点満点のうち100点すなわち10%になるはずなので、だいぶ軽量化したといえるだろう。

残りの旧帝大は「課すこと」のみ発表しており、配点等の詳細は、まだ不明である。情報Ⅰにはもちろん過去問の蓄積は無い。受験生たちがどのくらいの点数を取ってくるのか、そしてどのくらいの差がつくのか、そしてそれらがどう合否に影響してくるのか。未知数の部分が大きすぎるため、そう簡単には発表できないのであろう。その点で、北大の方針は大胆ではあるものの、現時点での不平等や不公正などに配慮した対応と評価できるし、名大の抑制的な配点にも深く納得のいくところである。

今後の展望であるが、情報Ⅰが科目として存在する以上、共通テストのみならず2次試験で課されることもいずれはありうる。今のところ国立大では電気通信大学のみが2次で情報Ⅰを課すことを発表している(キャラクター的には電通大と情報はまさにピッタリの相性。こんな感じで各大学が特色を出せるようになるのは良いことだ)。工学部系統を筆頭に、いずれ旧帝大にもこの波は及んでくるだろう。

教育における地域格差が大きくなってきている、というのはここ最近脚光を浴びている論点であるが、情報Ⅰに関してももちろん、こうした格差は激しいものとなっている。高等学校に在籍する「情報の先生」は全国に4,756人いるのだが、そのうち17%は正規免許ではない教員だという(2022年5月時点の数値。3月21日付朝日新聞より)。情報教育の整備がなかなか追いつかず、臨時免許や他科目の先生への仮免許といったもので対応している状態なのだ。しかもそういった非正規免許の教員が多いのは順に長野県、栃木県、茨城県、福島県、そして北海道といった過疎地域。逆に東京都や横浜市など都会は、全員正規免許となっている(ちなみに熊本市も、全員正規免許だ)。

都会と地方との完全なる平等というのは、なかなか難しいことであろう。漸進的に、にはなるだろうが、大学側そして大学入試センターの適切な対応を期待する。いずれにせよ情報Ⅰ、要注目である。しっかり注視していく。

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