2022年8月上旬、「東工大と東京医科歯科大、統合協議へ」との情報が駆け巡り、世間を驚かせた。
8月8日朝日新聞の記事によると、
いずれも国立の東京工業大と東京医科歯科大が、統合に向けて協議を始めることが関係者への取材でわかった。この2大学の研究水準は理工系と医療系でそれぞれ国内トップレベルだが、一部の大学に巨額の支援を行う「大学ファンド」の公募が年内に予定されるなか、この資金の獲得も視野に、統合で研究力をさらに強化する必要があると判断したとみられる。2大学は世界最高水準の教育研究活動が期待される「指定国立大学」。統合が実現すれば、指定国立大同士では初めてとなる。
とのことだ。
東工大、東京医科歯科大の統合協議で、「第二東大」目指した盟友・一橋、東京外大はどこへ向かうか (msn.com) の記事もとても面白い。
大学同士の合従連衡はここのところ盛んであり、大阪府立大学+大阪市立大学で大阪公立大学になったり、慶応義塾大学に歯学部ができる流れであることはその現れといえよう。早稲田大学にそのうち医学部ができるのではないかという噂も、真偽不明であるがまことしやかに流れており、強者が弱者を飲み込む動きは今後も加速していくと考えられる。
その中で、筆者は四大学連合(一橋大+東工大+東京医科歯科大学+東京外国語大学)構想に期待していたのだが、上述のように、文系2大学は置いてけぼりにされた形となったのである。四大学連合はまさに東京大学をライバル視した布陣であった。現時点では、予算で言えば東大工学部>東工大全学部、というこの屈辱的な世間的評価と現実を打開してみせるぞ、という意気だったはずである。各種記事等によると、理系大学だけで統合したほうが世界大学ランキングや研究費の調達等で都合が良いという狙いのようだが、個人的にはトーンダウンが否めず残念である。
そう考えれば、大阪大学はたいへん優れた大学だ。四大学連合の理想的な姿を、立地以外はすでに実現している。しかも受験難度的には四大学連合よりリーズナブル、とくればいかに大阪大学に魅力があるかご理解いただけるだろう。また、本連載で述べているように、旧帝大というブランド力は一朝一夕には構築できないものだ。同窓会の質や量で考えても、比肩しうるのは早稲田・慶應くらいのものであろう。
今後も続くであろうわが国の慢性的低成長時代と、少子高齢化社会における教育産業の競争激化の中で、大学側の生き残り競争も苛烈を極める。一方で、われわれ受験する側も、どの大学がこの21世紀に羽ばたけるのか、しっかり見極めて選んでいく必要があろう。