キッズは皆、きょうりゅう大好きである。人類に遺伝子レベルで刻まれたものとしか思えない。子どもの頃は皆、「恐竜の研究者」というものに一度は憧れるのだろうが、その道は思いの外険しく、ふつうは諦めてしまうものだ。
具体的には、まず旧帝大クラスの理学部に進み、古生物学や地質学を学ぶ。その中で海外視察や研究留学、現地発掘調査などのチャンスを掴み、何らかの発見や成果を挙げ、恐竜学者として生きていくきっかけを得なければならない。名を成している研究者を多く輩出しているのは、東大理Ⅱ→理学部地球惑星環境学科のルートだったり、北大理学部地球惑星科学科だったり。早稲田大学も恐竜ルートはけっこうあるようだ。
そんな回りくどい道ではなく、最初から思う存分恐竜の研究に邁進できる夢のような学部が史上初めて誕生した、というニュースには驚いた。6月3日付産経新聞によると、
国内有数の化石の産地として知られる福井県の県立大に令和7年度、恐竜の研究に特化した新たな学部が誕生する。その名も「恐竜学部」(仮称)。県によると、恐竜研究を掲げる学部設置は全国初だ。「恐竜王国」の強みを生かし、県立恐竜博物館(勝山市)の研究員による講義といったバラエティーに富んだ学習環境も提供される。
とのこと。3月28日付朝日新聞によると、
新学部には恐竜・地質学科の1学科を設け、その中に恐竜・古生物コースと地質・古環境コースを置く。定員は1学年30人。1年生は同県永平寺町の永平寺キャンパスで一般教養を学び、2年生からは県立恐竜博物館(同県勝山市)の隣接地に新設する勝山キャンパスで専門科目を履修する。
という。福井県といえば、たしかにフクイサウルスやフクイラプトルなんて名前は聞いたことがあるし、上記福井県立恐竜博物館は年間90万人が訪れるというわが国最大の恐竜博物館(早稲田大学卒の研究員による説明)。特色ある研究を、ということで白羽が立つべくして立ったということだろう。
公立大の魅力や学費無料の大阪公立大学についても述べたとおり、公立大には国立大とは別の存在意義があり、機動力もあるはずだ。このような形で全国にインパクトを与え、既存学部の隙間を埋めて子どもたちの夢をかなえる、そんな公立大がもっともっと現れてほしいものである。