日本で唯一の男子大学、と揶揄されていた東工大が変身しようとしている。2025年度入試までに143人もの女子枠を設けることとなったのだ。女子学生比率が20%を超える見込みだという。
最上位クラスの国立大学が、このようなアファーマティブアクションを採ることは相当の驚きであり、もちろん賛否両論となる。朝日新聞(2022.12.19)の記事を参考にすると、
賛成派:インターン先の企業などが「価値観や目線を多様にしたい」と女性雇用を増やしていることなどを知り、考えが変わった。今は「(女子枠によって)理系職の女性を増やすことで、会社や社会が変わる方が大事」と考える。
反対派:そうまでして女性を増やす目的がよく分からない。無理に枠を作るより、理系に進みたい女性を増やす工夫の方が大事。優遇されるべきではない。
筆者としての賛否は特にないのだが、おそらくはこの試み、東工大のさらなる発展につながるという形で成功を迎えるだろう。折しも2024年度中の完了を目途に東京医科歯科大との統合を控えている東工大。新たな名称は東京科学大。どう考えても、大学の将来性はめちゃくちゃ「アリ」に決まっている。とくに理系女子にとっては、とても魅力的な選択肢になることは間違いない。新生・科学大は今春、「国際卓越研究大学」公募にも参加し、意気軒昂である。まさに名実ともに旧帝大の一角として存在感を増してくることは明白だ。さらに今回の143人女子枠設定により、東大志望の理系女子がこちらへ流れてくる可能性もある。偏差値も間違いなく上がってくることだろう。
東工大のこの試みに刺激されたのだろうか。関東では有名私大である東京理科大も、2024年度入試から「女子枠」を設定。工学系学部に48人を募集することとなった。芝浦工業大も全4 学部で女性向けの推薦入試を行っているという。
女子学生にとっての理系選択肢が広がることは、当然歓迎すべきことだ。AIの時代=理系の時代に向けて、ますます理系大学は隆盛を迎えることであろう。