旧帝大全体の同窓会組織である学士会についてはその4で述べましたが、そこでも書いたように、実益はほとんどありません。毎年4,000円、気づいたら銀行口座から引き落とされてるなあ~くらいの存在です。
今回のテーマは、大学個別の同窓会について。
旧帝大はそれぞれの地域に根差して成立した大学であり、性格も一般的。九大だろうが阪大だろうが、特色や濃淡はそんなにない印象です。九州大学同窓会を例にとれば、法学部同窓会や経済学部同窓会など学部ごとの建付けがあったり、九州大学東京同窓会、熊本同窓会、みたいにOBが社会に出て活動している場所でのくくりもあったりします。年に一度総会を開いたり、ゴルフコンペをやってみたり、と親交を深めるのが主な目的。最近では学士会と提携して婚活パーティーまでやっていると聞いてびっくりしました。
そうした国立大とは、熱意と愛着が全然違うのが私立大。好きで選んで、入るのが私立大ですから、うらやましいほどの結束力を誇っています。誰もが認める2大巨頭が、三田会と稲門会。ビジネス用の名刺とは別に、大学同窓会の名刺を持たれているかたもとても多い。そこまで大学同窓会のことを愛しているわけです。
まずは三田会。“陸の王者”慶應義塾大学の同窓会組織です。総本山の連合三田会は一般財団法人。そもそも組織設立の維持と難しさからして、他とは全然違います。熊本三田会、中津三田会など地域ごとの集まりもあれば、「公認会計士 三田会」のように職種で形成されているバージョンもあります。理事がいて監事がいて、会費徴収があって予算設定があって、とフルに本格的な組織です。こうした個別三田会は全国に900以上もあるのだとか。卒業してもお互い「塾員」。むしろ卒業してから、義塾生活が本格化するといってもいいほどです。
そして次に、ライバルの稲門会。“都の西北”早稲田大学の同窓会組織です。OBたちの早稲田愛は、まあなんとも形容しがたい、内面からにじみ出るほどの狂気すら感じさせます。そもそものOBの数も多いですから、日本全国どこに赴任しようとも、稲門会組織は役立ってくれるでしょう。どこの会社のだれが稲門会、という情報は会員同士で一瞬で駆け巡るほどの関係の濃さです。稲門会活動も盛んであり、内部でこつこつ下積みして、皆に認められて役をもらったりするのは大変名誉なことのようで、会社や家庭とはまた別の、大きな居場所を形成しています。
そして、如水会。一橋大学の同窓会組織です。ここは国立大学の同窓会としては異例と言っていいほどの団結力。就職活動の際には、とても役立つようです。そんなプレゼンスと、さらに豪華さも備えています。一橋は旧帝大ではないので学士会館が利用できないのですが、その当てつけのように、すぐ南にもっと豪華な如水会館を構えています。一橋OBと同伴でしか入れない一橋ラウンジ(支払いは一橋クレカのみ)に、行ってみたかったなあ~。
最後に。こういう意味での「愛校心」が非常に薄いことで有名なのが東京大学。東京大学は、国立大学法人化を契機に校友会(同窓会)組織を再編し「赤門学友会」を作ったんですが、知らない間に東大学友会に名称変更されていました。わざわざ公募までしたネーミングだったのに、赤門を一度もくぐることなく卒業する生徒もいるではないか、という半ばいいがかりのような理由だったようです。同窓会組織の現状としては、各県各地で赤門会やら淡青会(ライトブルーが東大のイメージカラーなので)やら勝手に名乗って、ろくに組織化もせずに放置されている状況。社団法人でないのは当然として、権利能力なき社団ですらないだろうし、集まりたいときに集まるレベルで、存在も活動内容も中央の本部に申請してもしなくてもいい、みたいな緩さ。まあそんな感じなので、OB同士の関係も希薄。「群れないのが東大らしさ」と開き直る有様で、基本的にはお互い協力はしません。もうちょっと仲良くしたら得だろうになあ~と思いますが。
小学校・中学校・高校・大学~と人は成長するにつれ、何かしらのOB・OGとなっていきます。同窓生のつながりというのは、人生を大きく彩る武器ともなります。学閥の強さというのは、大学選びにおいても重要な要素です。自分の性格に合った大学・同窓会をしっかり探していきましょう。