旧帝大は、その全てが難関大である。難関大入試の特徴として2次の比率が高い、というのが挙げられる。センター試験の時代は、問題も単純で易しかったため、受験生の差が付きにくく、真の実力を測るためにはそれ相応の問題レベルが必要だったことの名残りだと思われる。

最も普遍的な法学部を例にとると、下表のようになる。

法学部2次比率
東京80%
一橋73%
東北67%
京都67%
九州67%
北海道60%
大阪50%
神戸47%
名古屋40%

こうしてみると、上位旧帝大である名古屋大(その7)がまさかの共通テスト重視というのが少々意外であった。

共通軽視で有名なのが、東大。大学入試センターさらにはその親玉である文部科学省と相当仲が悪いのでは?と邪推してしまうほど、共通へのアンチテーゼ全開である。たとえば、文系生徒が化学基礎を選択したとして、900点満点換算では普通50点扱いなのだが、東大はその900点を110点に圧縮するから、化学基礎で満点取ったとしてもなんと6点!!圧縮した110点と2次の440点を足した550点を満点として合否が決定されるので、化学基礎の比率は、屈辱の1%である。2次の国語で漢字3つ(東進推定で1つ2点)を完答すれば同値!?というほどの軽い扱いだ。理科基礎なんて漢字書き取りくらいの価値しかないよ、という強烈なメッセージが見て取れる。

東工大はもっとラディカル。共通の点数は足切り判定のみに使用。2次と合わせた点数カウントをそもそもしない。京大も、総合人間学部なんかは共通の英国数の点数は完全無視(東工大と同じ扱い)というハードコアな対応をしている。

というわけで、通常受験生が受けているマークシート式の模試(東進でいえば共通テスト本番レベル模試、河合塾なら全統マーク模試など)の判定は、難関大になればなるほど正確性が薄くなっていくというのが正直なところだ。特に東大に関しては、筆者はマーク式の判定は一切信用していない。東進も同様の扱いで、東大受験者向けの特別メニューを受講する資格を得るための条件には「東大型模試での判定」のみが使用できるのだ(この表現では何のことやらよくわからないと思われるが、この話しはまた稿を改めて)。

しかし、だからといって共通テストを軽視してもいいというわけではないというのが面白い。共通テスト導入後の顕著な特徴として、「2次での逆転は基本的に無い」時代に入ったと筆者は感じている。共通テストは賛否両論あるものの、問題の質自体は基本的に向上しているといってよく、受験生の思考力をよく測れる問題セットとなっている。センター試験の頃のように、覚えたものをそのまま吐き出す、という問題は出ない。したがって、2次を取れるやつは共通も取れる、という原則が成り立つわけだ。要するに、その原則の逆が真でないから話しがややこしくなるわけだ。

2023年=令和5年度の大学入学共通テストまで、いよいよあと3か月ほどとなった。まずはとにかく、受験生諸君がこの第一関門の大勝負で全力を出し尽くすことを祈っている。

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