大阪府がとんでもない発表をした。5月9日付朝日新聞によると、
大阪府は9日、高校や大阪公立大学の授業料の「完全無償化」に向けた制度の素案を公表した。親の所得や子の人数に制限なく、府内のすべての生徒を対象にするという。来年度から段階的に開始し、2026年度には全員の無償化を想定。府によると、都道府県での高校の完全無償化は全国で初めてという。
これは掛け値なしに素晴らしい政策だ。令和の現在、国立大学の授業料は年間53万5800円。筆者の生まれた昭和50年代は年間36000円だったので、なんと15倍近くにまで膨れ上がっている。少子化の一因となっている教育費の高騰に対して、政治がこのようなアンサーを提示してくれるのはありがたいことだ。
無料、というからにはいろいろ条件があるのが通常だが、継続した大阪府民でさえあれば、所得制限や卒業後の就職義務なども一切ないのがまた驚きである。大阪市であればバイト先もいくらでもあるだろうから、とても快適な学生生活を過ごせそうだ。
こうなると気になってくるのが、大阪公立大への人気集中。現在同偏差値帯にある横浜国立大や筑波大をあえて選ぶ府民は激減するだろう。大阪都心にアクセス良い立地にあるため、阪大(豊中という住宅街にあるのでアクセスはあんまりよくない)もうかうかしてられないし、神戸大をめぐる戦いの構図も変わってくるのではないだろうか。
そして、なんといっても大阪公立大の武器は医学部があること。防衛医大や自治医大を目指す層への大きな選択肢になるし、阪大医学部、神戸大医学部にまさか偏差値で勝ってしまうのか!?という予感さえしてくる。さすがに京大医学部を超えることはないだろうが…?
厳密にいえば、医学部を目指せる層の授業料を免除することは、富裕層への再分配につながってしまうという不平等性もあるにはあるのだが、そういうデメリットに目をつぶっても、そもそも公教育はこうあるべきだ、と筆者は思う。久しぶりに希望を持てるニュースであった。