今朝、NHKの九州・沖縄版ニュースで「福岡市役所がChatGPTを業務に導入する試み」であり、それを受けて福岡県庁も「新たに検討グループ設置」と報じていた。たしか、横須賀市や川崎市もAIをすでに業務へ導入していたと記憶している。

後の世から振り返れば、この2023年は本格的な「AI元年」と位置付けられることだろう。数年前に人類が想定していたよりも、ずいぶん進化が早いようだ。筆者としては、楽しみというより恐怖のほうが大きいのだが…

そして、タイムリーというべきか否か、大学入学共通テストにおいてもいよいよ令和7年度入試すなわち現在の高校2年生が迎える入試から、新科目「情報Ⅰ」が導入される。英数国理社という不動の5科目時代は永遠に続くものかと思っていたが、戦後80年の節目に完全な新科目が登場すると思うと、感慨深い。

この全く新しい科目。早速筆者も教科書レベルから勉強してみた。情報といってもプログラミングのみではなく、LANやイーサネットの基本的知識であったり、現在数学として扱われている「データの分析」だったりも入っている。やってみると面白いし、これからどんどん発展していく科目なのかな、と思った。奥は深いだろう。その勢いで、東進が2月に実施した情報Ⅰ体験模試も解いてみたが、1問目から間違えるなど、散々な出来であった。これはなかなか、受験生たちを悩ませることになるだろう、と感じたものだ。

本稿執筆時点で、東大・京大・一橋・東工大・阪大・九大…といった名だたる大学を含めた多くの大学が、情報Ⅰを共通テストにおいて課すことを公表している。いわゆる旧帝大プラス3は、全てだ。九州だと、九工大・福教大・佐賀長崎大分鹿児島…もだ。プログラミングができなければ、大学に行けないよ、という時代が到来したのだ。

冒頭述べたように、人類の想定を超える勢いでAIが進化する時代に突入している。AI時代の基本的リテラシーとして、情報という科目は普通に考えて必須だろう。ちなみに、ChatGPTは単なるビッグデータ集積と解析の帰結であり、何らかの技術的な発明(invention)があったわけではない。既知の技術の組み合わせから社会を変える、まさにinnovationと呼ぶべきものだろう。ワシントン大学の研究によれば、ChatGPT-4はすでに日本の医師国家試験に合格したとのこと。今後の進化と発展を考えると、やはり恐ろしいと感じてしまう。

ただ、筆者としては受験生への負担が気になる。センター試験の頃は800点満点だったのが、今や900点満点。そして情報追加により1000点満点になるわけだ。これからの子どもたちは、本当に大変だな、と思わざるを得ない。現行課程でさえ、高校生は部活に勉強に、アップアップで時間がなく、へとへとである。どうかこれ以上、受験生への負担を増やさないでほしいものである。

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