高校生以降の学問は文系or理系に区分されることとなっています。どちらも同格なはずですが、進学校になればなるほど、理系選択者の割合が増える傾向にあります。たしかに、理系のほうがより学問ライクというか、客観的合理性を追い求めているような雰囲気はありますね。また、文系選択者には「数学が苦手だから。。」という消極的理由によるものも昔から多く含まれますから、そういう点でも理系のほうが格上感を醸し出しているんだと思います。

しかし本当にそうなのか、と私は学生時代から思っていました。すなわち、古代ギリシア以来、すべての学問の基礎は「哲学」にある、と考えるとそうした観念的な学問(=上流)に位置するのが文系学問で、テクニカルな技術論(=下流)に位置するのが理系学問なんじゃないかとも考えられないだろうか、と。

まあ要するに、文系人間としてのプライドを持つ高校生のころの私は、そういうことを考えて理系のライバルたちに対抗心を燃やしていた、ということです。

ともあれ文系学問自体に曖昧性があるのは事実で、とくに法学部や文学部系統の研究では、客観性・合理性・定量性というものへの意識、ある意味嫉妬に似た戦いをずっと続けていかねばならないものとなります。たとえば、政治学原論(政治学の基本となる入門講座)の代表的な教科書なんて、「政治学に合理的なるものが存在するのか否か」について、冒頭第1章を使って深く論じているわけですから。ちなみにその教科書(佐々木毅『政治学講義』東京大学出版会)においても合理性は「存在する」と断言できていない、のがまた面白いところです。なにも学問が合理的である必要はないじゃないか、とまでは言えないけど、そういいたい気持ちはある、という具合ですね。

合理性の補強という観点では、数学というよりは統計学が、文系学問の定量性を大きく支えることとなってきます。現在の過程で数学Aに「データの分析」が入っているのは非常に良いことである、と思います。私のころの旧課程では、そんなのは数学とみなされていませんでしたから。文系の皆さんは、「データの分析」をどんどん得意になってみると末永く役に立つと思いますよ!

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