東大京大に次ぐ3番手大学はどこか。文系なら一橋、理系なら東工大、と満場一致で決まるところだろう。旧帝大の上に位置する東京一工というカテゴリである。一工が強いのは、東京にあるからという理由も大きい。首都圏の人口は3000万人を超えるわけで、東大は無理でもその次のランクを、と願う大量の受験生が集うのが一橋、東工大だからである。

すると気になってくるのが、一工と阪大の差である。一工の方が上であるのは間違いないところなのだが、そこにどれくらいの差があるのだろうか。今回は文系に絞り、一橋と阪大の差について考えてみたい。

入る難しさがどれくらい違うのか。東進偏差値でいえば、一橋社学67、一橋法66、一橋経済66、一橋商65。一方阪大は、阪大文65、阪大法65、阪大経済65、阪大人間科学65、阪大外国語63。どうだろう、一橋水準と阪大水準とでは、勉強時間で言って半年分くらいの差はあるとみていいだろう。

ここで気を付けなければならないのが、一橋は4科目の偏差値、阪大は3科目での偏差値というところだ。3科目での高偏差値の方が取りやすいのは当然のことなので(英国社で入試の早稲田大は偏差値70前後に達する)、それを加味すると、数字以上に一橋と阪大の差は大きいこととなる。

4科目めとして加わるのが、社会である。ただ社会が加わるというだけではない。その社会が異常難易度で、非常に重たいのが厄介なのである。深く狭くをえぐってくるので、ある意味東大社会よりも難しいとさえいえる。専門の対策を取らないと絶対に無理である。2023年の一橋世界史を例に挙げると、マダガスカル島の隣にある名前も覚束ないような2国に関して、20世紀後半の内戦や外交を400字で述べさせるという究極難度の問題であった。筆者がもし受験生だったら、1文字も書くことを思いつかなかっただろう。

数学の難度についても、かなりの差があると考えていい。一橋の数学は、整数論も含めよく練られた良問が出される。東大を少しだけ易しくしたようなイメージだ。対して阪大数学は旧帝大の一般的なレベルであり、場合によっては高得点も充分狙える。

配点比率にも差がある。文系単科大学というある意味コンプレックスがそうさせるのだろうか、一橋ほど数学を重視する大学は無い。経済学部で比較すると、阪大は英数国が同じ比率であるのに対し、一橋は英数国社が26:26:11:16。文系でありながら、国語の2倍の配点が数学に割り当てられている。国語力よりも数学力を明確に重視していることが伝わってくるのだ。

このように、入試における差はかなり大きいのだが、卒業時の差はどれくらいあるのだろうか。就職力の強さは、圧倒的に一橋である。東大京大早慶といった就職最強大学群の一角を占めるのが一橋・東工大であるのに対し、阪大は九大北大、場合によってはMARCHレベルの就職力であるのが現実だ。具体的にいえば、大手商社に就職する人数が慶應40人だったとしたら一橋は20人(卒業人数が少ないので)。阪大は2人、とかそういう感覚である。

特に最高レベルの外資系コンサルティング会社や外資系金融などになると、阪大だとなかなか難しいかなという感じにまでなってしまう。一橋だったら、そのレベルにも太刀打ちできる。

司法試験合格者数では阪大も健闘している。2022年合格者数は一橋の66人に対し、阪大は51人。ロースクールのレベルは互角と言っていいようだ。

入るときの違い、出るときの違い、いろいろなことを踏まえ、阪大を選ぶか一橋に挑戦するか、考えてみるといいだろう。

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