京大ランキングは、個性的である。一気に見よう。下記の表だ。

まず注目は城南高校(福岡)!これはいわゆる二番手校。トップ校である修猷館が位置する第6学区と呼ばれる地域に存在する。福岡県はいまだ学区制である。学区制とは、住所ごとに行ける高校のリストが制限されているというシステムだ。たとえば博多区・東区民なら福高、中央区・早良区・西区民なら修猷館、南区や糸島・春日・太宰府民は筑紫丘、という具合である注1。なんだか窮屈な感じがするかもしれないが、これはこれでわかりやすいというか、そもそも福岡県民は自身の居住地を決める時点で、学区のことを意識しつつなので、とくに問題はないのである。

二番手校というと、熊本の方々は済々黌を思い浮かべられるかもしれないが、筆者の感覚からするとちょっと違う。高校入試における済々黌は、福高や筑紫丘と同じくらいのレベルなのだ。決して二番手ではない。城南は、熊本で言えばなんとなく第二高校のイメージに近い。

そう、そんなわけで二番手校である城南がこの手のランキングに登場することは喝采である。ちなみに九大合格者数ランキングでも11位(43人)に付けており、高校入学後に伸びる生徒が多いと推定できる。城南高校、果たしてどんな指導をしているのだろうか。筆者の友人に1人もいないので、今までノーマークだったが、気になるところだ。

東大のランキングとはがらりと変わって、京大ランキングでは福岡県勢の活躍が目覚ましい。福岡市の優秀な中学生は高校を選ぶ際に、東大を目指すなら灘か附設かラサールへ、九大を目指すなら御三家へ、というはっきりした棲み分けが伝統的にある。高校入学後に勉強を頑張った結果、東大、というところまでは突き抜けていないけど、九大ではお釣りが来てしまう…という層が京大を目指しているということだろう。阪大…はなかなか選ばれにくい傾向だ。阪大行くんやったら、九大でいいっちゃなーい?という意識の方が強い。なお2023年、九州で一番阪大に通しているのは熊高で20人。2位が福高で15人であった。福岡でも九大一辺倒という空気が少しずつ変わっていくのかもしれない。

東大ランキングにはいなかった東筑や小倉が存在感を示しているのも嬉しいし、かたや東大トップだったラサールが少な目なのも興味深い。鹿児島→京都ルートというのはあまり好まれないのだろうか。

1位の修猷館が21人。九州でトップでも、全国で見ると30位。京大は、関西勢にかなり独占されているといえよう。

最後に、東大+京大の合計値ランキングで締めくくろう。こうしてみると、納得のいく顔ぶれといえるだろう。2024年以降の動向チェックも、今から楽しみである。

注1:厳密にいえば、博多区でも福岡空港近辺は福高ではなく筑紫丘の学区になるなど、複雑なのだが、ここでは簡略に示した。

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